路地空間で繋がる奥行きのある家

Michiko JUTO Michiko JUTO
彦根の家, 井上久実設計室 井上久実設計室 Rumah Gaya Eklektik
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とかく制約のある状況で建築計画を行なう場合、短所ばかりに気をとられているとなかなか良いアイデアは生まれません。しかし発想の転換や視点を変えることで短所を長所に変えることが可能です。今回は両隣に既存の住宅群が迫り、さらに二つの道路に接した細長い形状の敷地に建てられたその特徴をうまく引き出した住宅をご紹介します。クライントの要望である「静かな生活」のための住まいを手がけたのは井上久実設計室です。

4つのボリュームと中庭で構成される住空間

まず上空から見てみましょう。細長い敷地の短辺方向は市道と県道に接しており、長辺方向は隣家が迫っています。大小の建物と中庭空間を連続させた配置は奥行きのある敷地ならではのアイデアですね。高さのズレが採光をうまく取り込み、強弱のあるボリュームの連続性が多様な空間体験を生み出します。それぞれのボリュームは路地のような廊下で繋がります。

さりげなく見える中庭の演出

道路に面して配置された駐車スペースと玄関アプローチです。端を斜めに切り落とした壁や傾斜する屋根がボリュームを軽減し、変化に富んだファサードを街並みに向けています。2つ目のボリュームとの間に設けた中庭が道路側からさりげなく見えるところが粋な感じです。セットバックしたおかげでプライバシーもしっかり確保。

表情豊かなファサード

こちらは反対側の道路に面したファサード。1階の壁を傾けることで前述の駐車スペースのボリュームと統一感を出したデザインです。2階は全面に開口部を設け、街並みに対して開放的な雰囲気を出していますね。

自然素材が醸し出す心に響く住まい

道路からアプローチをまっすぐ進み、2つ目の建物ボリュームの片流れ屋根の一番高い場所に配置された玄関は、吹抜けになっており高窓から差し込む光でとても明るく開放的です。石のような質感の床に天然素材で仕上げた天井、そして格子の引き戸が醸し出す京の町家のような趣きのある内部空間ですね。

移動空間だけではない路地の役割

玄関から続く路地のような空間は、なんと格子の引き戸を開けるとリビングとひと繫がりに。この家の特徴は建物を繋ぐ路地のような廊下が時には生活空間と一体化し、時には中庭と融合するといった具合に単なる移動空間ではない機能を果たすんです。

大胆な天井の勾配が生み出す斬新な空間

ダイナミックな天井はキッチン上部の高窓から中庭へ向って流れ落ちるように空間をしぼっていきます。ソファやダイニングチェアなどに取り入れた黒のカラーがアクセントとなって室内にクールモダンな雰囲気を添えています。そしてステンレスのキッチンはアイランド型でダイニングとの動線も機能的。天井まである開口を全開すれば内部空間はそのまま外へと繋がっていきます。

自然を感じながら暮らす

無機質な要素やナチュラルな素材をうまく融合させたLDK。視線はそのまま中庭へと抜けていきます。中庭の自然の移ろいを感じながら暮らせる住まいが難しい立地条件の中で生まれました。

奥行きのある構成がもたらす変化に富んだ空間体験

3つ目のボリュームに配置された静寂の広がるような和室。向かい側にはテラスを介してダイニングキッチンが見えます。中庭を眺めながら過ごすのも素敵ですよね。「やっぱり和風建築!自然と共存する住まい」も和室からの庭の長めが素晴らしいので、是非参考にどうぞ。

静かな生活

同じ和室を違う角度から見てみましょう。最近は和モダンも流行っていますが、本格的な要素を取り入れた和室はやはり圧倒させるものを秘めています。外の喧噪を全く感じさせない静かな空間、きっとクライアントも満足ですね。

緩衝空間で繋がる内外環境

4つ目のボリュームの2階です。2重の開口の間に半屋外空間を配置。様々なグリーンで街並み対して親しみのある雰囲気を向けています。こちらの居室もアジアンテイストっぽい天然素材で仕上げた天井が特徴的。そのまま軒天に繋がり、広がりのある空間構成を採用しています。大きな開口でも緩衝空間を設けることで外部からの視線も気になりません。

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