祖母からひ孫へ… 四世代を優しく包み込む薪塀の家

Emi M Emi M
薪塀の家, 東山明建築設計事務所 東山明建築設計事務所 Rumah Gaya Asia
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本日紹介する住宅は、周囲に牛舎や田んぼが広がる牧歌的な風景の中に建つ、ギャラリー喫茶に並列して計画された店舗オーナーの住宅です。両親と祖母、若夫婦と子どもという四世代にわたる家族の生活の場として、ローコストでありながら木の暖かさを見せる住まいを、という声に応えたのは兵庫県神戸市に拠点を置く東山明建築設計事務所です。「素材を吟味しながら人に優しい空間を提供していくことを考えながら日々設計をしております」という建築家が建てたのはこんな二世帯住宅… さっそく見ていきましょう。

外観

この住宅は二世帯の住戸分、約25mにもなる極太の棟木を一直線に通し、これを連続した木架構で支える木軸組の見えるほぼ平屋の住宅です。大きく広がる空を背景にどっしりと構えたその姿は、祖母からひ孫へと四世代に渡る家族をそのまま大きく包み込む包容感を感じさせます。

塀、そして燃料としての薪塀

パブリックスペースであるギャラリー喫茶とプライベートスペースを仕切るのはこちらの薪塀。昔ながらの山小屋のような情緒ある雰囲気が今見ると逆に新鮮です。この薪塀は単なる塀ではなく、ギャラリーと住まいの両方で薪ストーブの燃料として使われています。薪はワンシーズンでほぼ使い切ってしまうので、オーナー自らがギャラリー経営の傍ら山へ調達へ行き、薪割りも家庭の年中行事として行っているとか。もちろん現代生活には電気やガスによる暖房がありますが、このように自然の恩恵と共にそれぞれの季節を生きる、そんな生活の中でだけ得られる生きる歓びがこの家にはあるのではないでしょうか。

子世帯のLDK

室内は木組みが複雑に入り組んだ構成美を堪能できる空間。こちらは子世帯のLDKです。壁の左官、床塗装、テーブルはクライアント自らが手がけており、より思い入れと愛着のある住まいに。そしてなんとアイランドキッチンも天板より下部を住宅建材の廃材を利用してクライアントが制作したとか。ダイニング側を見せる収納にして、美しい器やお気に入りのアイテムを飾れるギャラリーのようなスペースになっています。黒いツヤのある天板と力強い木材のコントラストが魅力的なアイランドキッチンです。写真中央奥は親世帯の玄関。

​子供部屋

子供部屋も木材を中心にした温かなインテリアとなっています。柔らかで温かみのある木材の本棚や勉強机、そして窓の向こうに広がる田園風景。ナチュラルで健康的な住まいに守られてすくすくと育っていく姿が目に浮かびますね。

親世帯のLDK

こちらは親世帯のLDK。玄関は大きな二枚引き違い扉で、出入り側をガラス扉、片側を床の間の壁に見立てて和紙貼りの扉としています。こちらもダイナミックな木組みが美しい空間。それ以外に装飾はいらない、と思わせますね。

クライアント自らが家造りに携わることのメリットとは愛着が湧くことだけでなく、自身で暮らしの変化に応じて家に手を加えたりメンテナンスを行えること。竣工から十年経った現在はさらに個性ある素敵な趣に変化しているそうですよ。

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