材料費わずか3000円!ニワトリ小屋を和モダンに改装したアトリエ

隠鶏庵(インチキあん), 高原正伸建築設計事務所 一級建築士事務所 高原正伸建築設計事務所 一級建築士事務所 Ruang Media Gaya Eklektik
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昔使われていた建物が、現在は使命を全うして使われなくなってしまうとどのような道を辿るのでしょうか。多くはゴミ置き場、物置、あるいはそのまま風化を待つ立場として時を重ねていくばかりかもしれません。しかしその活路を見出されたとき、数十年の時を経て新たな目的や息を吹き返すこともあるでしょう。今回ご紹介するのは、すでにゴミ置き場と化していた旧ニワトリ小屋をリフォームして生まれ変わったアトリエです。高原正伸建築設計事務所 一級建築士事務所がもとある素材を生かしながら大工工事に励み、たった3,000円の材料費でまるでもとの姿を感じさせない味わいのあるアトリエを自ら手を加え完成させました。

時を経たニワトリ小屋だった建物

30年以上前、旧ニワトリ小屋だったというその建物は、今現在はすっかりゴミ置き場と化していました。錆の出たトタンが年月を感じさせるラスティックな外観です。「千利休が茶室を造ったように」ニワトリ小屋に隠れ住む、というコンセプトから生まれたこのアトリエは、時を経た味わいのある外観をそのまま生かし、ところどころ手を加えたり磨いたりと丁寧にリフォームされています。年月を重ねた風合いが残されたその佇まいは、まるで隠れ家のようにそこの地に馴染んでいます。

昔ながらの入り口を生かしたエントランス

この小屋に入るための入口は、もともとあった入り口を丁寧に磨いてリフォームさせた木製の引き戸となっています。昔のサイズのため少々低くできており、かがむかかがまないかのバランスが絶妙な味わいを出しています。「隠れ家」のコンセプトにはぴったりの控えめな佇まいがこの小屋へ自然と導かれる魅力となっています。上部の明かり窓や、壁面の組子、引き戸のすきまから漏れる光で独特の陰影を生み出した室内は、いざ仕事をするという心の切り替えに繋がる装置となります。

古材をリフォームして生まれ変わった家具

アトリエのメインになるいちばん広い空間は、もともとあった木材や古材を磨き、手を加えてリフォームされたテーブルや椅子があります。仕事をするためのアトリエとして生まれ変わったニワトリ小屋ですが、まるでその記憶を感じさせない空気を持つ空間になっています。自然素材や古材の持つ独特な存在感によってゆっくりとした時間が奏でられるような印象を与え、昔のガラス建具から注がれる光は柔らかく室内を包み込みます。まるで時が止まったかのようなこの空間は、めまぐるしく流れる現代の時の流れから隔離されることによって創造性を高められることでしょう。

土壁の持つ温かさと存在感

内装全体は昔ながらの技術が生きた土壁が採用されています。竹小舞を組まれた壁面にわらを混ぜた土で仕上げがされ、土からのぞくわらの陰影がとても味わい深い空気を作り出しています。竹小舞が見える小さな開口によって光を通す役割と視線の抜けをつくり、重厚さで窮屈にならないような演出がされました。決して機械化できない昔の技術によって生まれた土壁は、自然素材の持つ温かみを感じさせるとともに、その過程の持つ重ねられた時間も相まってどっしりとした存在感を醸し出しています。現代ではこうした日本古来の伝統的な技術を見られることは少なくなり、この独特な味わいを感じられる場所も少なくなりました。その場に立ってみると、悠久の時を感じる存在感の虜になってしまうような素晴らしい技術は、これからも受け継いでいきたい日本の宝と言えます。

資材を生かして工夫がなされたエントランス

この小屋へ入るための、エントランスの外には瓦をあしらった踏み石代わりのステップがあります。周囲を土に囲まれたこの小屋へ入る際に、しっかりと踏むことができるポーチの役割を持ち、また雨の日など水たまりができないような工夫にもつながっています。リフォームをする際に通常であれば処分されるような資材をこのように採用することで、とても味わいのある佇まいを見せるとともに実用的な用途としても活躍することとなりました。十字の綱で巻かれた関守石が置かれ、この小屋が持ち主だけの秘密の隠れ家であるような演出による趣がより味わい深さを増しているようでもあります。

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