住まいと言えば、家族が暮らしを送る場所になります。ですが、そこで時間を過ごすのはそこに家族だけではないでしょう。親戚や友人などが訪れて、一緒に楽しい時間を過ごすことになります。ですが、そのために家族だけでなく、訪れた人も楽しく過ごせるような空間が必要となるでしょう。そこで紹介したいのは、そんな要望に応えた人の繋がりを考えた住まい。そこでは個性的な空間によって多くの人が一緒に過ごせるようになっています。
今回紹介するのは松岡健治一級建築士事務所が手がけた家。それは福岡県の住宅地に建てられました。今回の依頼主が建築家に求めたことが2つありました。それは趣味の野球の試合をチームメートと一緒にお酒を飲みながら見れるような空間を作ること。そして防犯を考えて外に対して開かれすぎず、同時に中に光を取り込めるようにすることでした。こうした要望に応えて建てられた本住宅は他にはない魅力を持ったものになっています。
建てられたのは木造2階建ての住宅。黒くまとめられた建物の1階には窓が少なく、通りから中の様子を窺うことはできません。そのため防犯やプライバシーを考えた建物であることがわかるでしょう。また外観では強い個性も感じさせます。それを感じさせるのは建物から張り出した大きなバルコニー。その下は雨をしのげるため車庫の役割を果たします。またバルコニーだけでなく2階部分も少し張り出した形をしているため、大きな2階と小さな1階というように、外観の個性が際立ちます。そして他の家にはオリジナリティをもった家であることが感じられるでしょう。
玄関を開けて感じられるの外観と内部空間の大きな違いは。外壁は黒色にまとめられてシックな印象を感じさせます。ですが玄関は明るい色でまとめられており、家の中の明るさが際立って感じられるでしょう。こうした明るさを演出するのは天井や壁などに使われている明るい茶色の木材。それは明るさだけでなく木の素材によって暖かな雰囲気も生み出しています。
玄関を通り抜けて、家の中に入ると驚かされるかもしれません。なぜなら家の中のリビングに土間が広がっているからです。そこは床から一段低い場所となっており、そこで生まれる段差はベンチの役割を果たします。また土間には2階へと上がる階段も設けられており、こちらも段板がベンチとなります。そのためリビング周辺には多くの座れる空間が生み出されるため、多く人が集まることができるのです。
家の中は玄関同様に明るい木材で覆われています。ですが、家に明るさをもたらすのはそれだけではありません。リビングルームに隣接する形で中庭が設けられています。家の外に対して大きなガラス窓は取り付けていませんが、中庭部分には取り付けています。そのため中庭へと射し込む太陽の光を家の中に取り込むことができます。そのため防犯に関して心配することなく、家の中で外の光を楽しむことができるのです。
本住宅では、依頼主の要望に応えて多くの人を招くことができる明るい空間が実現されています。個性的なリビングの土間は普通の家で送れない生活を可能にします。そして明かい空間は、ここでの暮らしを心地良いものにしてくれます。このような空間は、本住宅での暮らしを素晴らしいものにしてくれるに違いありません。
写真撮影 : 針金洋介(Techni staff)
松岡健治一級建築士事務所が手がけた家は、こちらの記事でも紹介しています。