今回ご紹介するのは、京都の住宅密集地で間口の狭い敷地に建つ住まいです。縦のスペースを上手に利用しリビングを2階に配置することで、広さと明るさが感じられる住空間が実現しています。狭小敷地や狭い間口の敷地で家作りを計画している人は、何か参考となるアイデアが見つかるかもしれません。このプロジェクト「立体的につながる京町家」を手掛けたのは、東京を拠点に活動している株式会社FIT建築設計事務所です。一体どんな様子になっているのでしょうか?さっそく詳しく見て行きましょう!
写真:内城祐樹
ロケーションは日本を代表する観光都市の京都。わずか3.6mしかない間口で、奥に細長く伸びる長方形の形状をしたいわゆる「ウナギの寝床」の敷地に建つ住まいとなっています。住宅の両サイドには高い建物が密接していて、少し圧迫感がある印象です。狭い間口の敷地は、この地域ではよくあるそうですが、家作りに際し建築家は通常の在来木造工法で家を建てると制約が多くなると思い、木造の良さと耐性の強さを併せ持つSE構法(重量木骨造)を採用したということです。
【工法については、こちらの記事でも紹介しています】
こちらは夜の外観の様子です。格子に囲まれたスペースによって、玄関の目隠しやベランダのような半屋外空間が生み出されている他、外観にもナチュラルなアクセントがプラスされています。夜はこのように格子が作る光と影の美しい佇まいで、通りを行く人やご近所の人も楽しませてくれます。間口の狭い敷地での家作りは、スペースを広く見せることが難しいものですが、このように外観にも工夫を施しながら、なるべくゆったりとした室内空間を目指し住宅プランが考えられました。
住まいの構成は、1階にダイニング、2階にリビングと、LDKが上下に分かれたレイアウト。しかし、LDKとしての一体感を生み出すために、その間に中2階の畳コーナーを設置することで、LDK空間をつなぐ役割を果たしています。また1階と2階の一面の壁をカバ桜の無垢材で統一し、視覚的にもまとまりが感じられるように工夫しているということです。
こちらは2階リビングの様子。大きな窓がありますが、格子によって外部からの視線は遮られるので、室内ではのんびりとくつろいで過ごせそうです。また3階にはロフトと個室、屋上にはルーフテラスを配置しています。吹き抜け天井となった階段からは下の階の気配も伝わり、縦の関係でつながるLDKでも一体感があるので階が違ってもそれほど気になりませんね。住宅密集地ではプライバシーの関係から、2階にリビングを置く方が安心して過ごせることも多いので、家作りの際は専門家と相談することが大切です。
▶「住まいの写真」ページでは様々な種類のリビングを紹介しています。◀
※リビングの写真ページ
こちらは花壇スペースを設置し園芸も可能なルーフテラスの様子。夜は昼間とはまた一味違った京都の幻想的な街並みを眺めることが出来ます。住宅密集地や狭小敷地の住まいでも、このように屋上に開放的なルーフテラスなどの屋外空間を設ければ、豊かで快適な暮らしが楽しめるということが分かりますね。
▶株式会社FIT建築設計事務所が手掛けた建物はこちらでも紹介しています◀